【現職都議が検証】『女帝 小池百合子』のリアルな書評。東京都知事選挙前に必読

2020.07.3

こんにちは、藤井あきら(東京都議会議員/府中市選出)です。
少し乗り遅れた感がありますが、話題の『女帝 小池百合子』読みました。

6月18日から始まった東京都知事選挙選直前の販売というタイミングもあり、発売2週間で15万部、大変な売れゆきだそうです。

私の知らない小池都知事の事が書いてあるとのことで楽しみにしておりましたが、読み進めるにつれて、私の知る小池知事のイメージとの余りの違いに、違和感が大きくなっていきました。

その違和感の正体を明らかにするため、ネタバレを含んだ書評を書いてみようと思います。

作者の石井妙子氏は、いったい何を描きたかったのでしょうか?

最初の違和感

まず全体の感想ですが、作者の石井妙子氏の確かな筆力と、とてもよく取材をされている本だと感じました。

約3年半前から、100人以上に取材を重ね、この都知事選挙のタイミングを狙って出版してきたあたり、販売戦略を含めて大変練られているなと思いました。

ただ、描かれる「女帝」の印象が、間近で見る小池都知事のものと全く違う事に、冒頭から違和感がありました。

あまりにも話ができすぎているなと。

できすぎた「痣」の話、しかし、これは悪意を持った憶測ではないか?

例えば、小池氏の幼少期の「痣」の話が象徴的に書かれおり、この冒頭の「痣」を隠して暮らしていたという話から、都知事選の「厚化粧」の話の流れは大変面白いストーリーでした。
しかし、これ本当の話でしょうか?

子どもの時の匿名の隣人などの証言を挟みつつ、作者は「~だろう」「~ないだろうか」と推測を書きながら、グイグイと読書を意図する方向へ導いていきます。

例えばこんな感じです。

「それは子どもの柔らかな心に、どんな影響を与えたことだろう。他人が自分の顔を見た時に見せる表情、あるいは言葉に、いつも怯え、傷つきながら育ったのではないだろうか」(P.28)
「咲子を通じて、百合子は美貌に恵まれた少女が、どれだけ周囲に愛され、幸運を手に入れるかを理解したのではないだろうか」(P.29)

こうしたコンプレックスが「女帝」を作り上げたというストーリーなのですが、間近で見ている小池知事がとてもそのようには見えず、ここにも大きな違和感がありました。

「これは単なる憶測ではないだろうか?」という疑念が湧いてきます。

しかも、あきらかに悪意があります

どうして、この作者の石井妙子さんは小池百合子知事のことがこんなにも嫌いなんだろうという気がしてきます。

そう言った視点で見ていると、匿名の証言者が都合よく出てくる点も気になりました。

存在しない匿名の証言者に、自分の憶測を「証言」させるというのは、三流雑誌のライターがよく使う手法です。

証言を元にしているため訴訟など何かあった時、記者は安全です。
自分の意見ではなないと言うことができますし、取材先を隠すものなので発言者は特定することも出来ないそうです。

疑問①:なぜ3年半も取材して、小池知事本人に会ってすらいないのか?

本書の最後は「彼女に会う機会があったなら、私は何を聞くだろう。崖から飛び降りたことを後悔しているか、それに見合うだけの人生は手に入れられたか、自分の人生を歩んでいるという実感はあるのか、あなたは何もになったのか。そして太陽はあなたにまぶしすぎなかったか、と聞くだろう。」(P.427)と締められています。

これ、つまり小池知事本人には会ってすらいないという事です。

作者の石井妙子氏は、3年半前から100人以上の取材をして『女帝 小池百合子』を書きあげたとのことです。
その取材の成果のように、数多くの参考文献があげられています。

執念のようなものすら感じる徹底した取材ですが、そこまで多くの取材や資料に目を通しながら、なぜ小池百合子都知事に本人に対するインタビューが行われていないのか?と言うのは素朴な疑問です。

もしかしたら、インタビューは依頼したけど、断られたのかもしれません。

しかし、東京都の記者クラブはオープンで、毎週金曜日に開かれている小池都知事の定例記者会見は、マスコミ関係者なら誰でも入ることができます。

なので、会うことすらできないという事は無いでしょう。

そう思って調べていたら、作者の石井妙子氏は、過去の「ノンフィクション」作品でも本人へのインタビューは行っていないようでして、ちょっと驚きました。

◎「家系」から肉迫した生身の原節子[レビュアー] 平山周吉(雑文家)

>その本で取り上げられた十人には、「極力お会いできるよう努力したが、おひとりも取材に応じて頂けなかった」と平然と書いている。

>『原節子の真実』も、「取材に応じて頂けなかった」ことをバネにしている。

本人が生きていて直接会いに行けるのに本人に取材をしようとしない、と言うのはノンフィクションとしての誠実性があると言えるのでしょうか

作者の石井妙子氏が描きたいものは、「真実」ではなく、自分の「物語」に都合の良いストーリーのかもしれない、と思うようになりました。

疑問②小池百合子知事はマニキュアをしない

そう思ってみていくと細かな点でもおかしな点が目につきます。
例えば、「第四章 政界のチアリーダー」「震災被災者への冷たい態度」という所で、陳情に訪れた方々が女帝に冷たくあしらわれる話が描かれています。

なんと陳情の間中、指にマニキュアを塗り続け、あげく「もうマニキュア、塗り終わったらから帰ってくれます?私、選挙区変わったし」と告げ、女性たちはあまりのことに驚き、大きなショックを受けたとのことです(P.214)。

厳しい状況を何とかしたいと相談にいき、そんなこと言われたそれは大きなショックを受けるに違いないですし、そんな対応をする政治家はちょっと信じられません。

しかし、ちょっと待ってください。これ本当の話なんでしょうか?

実は、私は、小池百合子都知事がマニキュアをしているのを見たことがありません(テレビなどでも確認できると思います)。

さらに私は以前「マニキュアとか無駄なことに時間をかけている暇はないのでそういうのはしない」と小池知事が話していたのを聞いたことがあるのです。

この箇所は、複数人証言者がいて、小池氏の対応を喧伝して回ったという事ですが、本当の話でしょうか。

同じ疑問を持って検証をされた方がいるようで、色々調べても根拠となる情報は出てきていないようです。

【検証中】小池百合子はマニキュアを塗りながら被災者を追い返したのか、ゆりこくん、東京に巣食う

結論:ノンフィクションとしての誠実さを欠きすぎていないか

これ以外にも事実関係が怪しいと思しき点が散見されます。

舛添要一前都知事がこの本に出てくる熱愛報道を全力で否定しています。

以下の記事は小池都知事・小池都政を批判的に取り扱った内容ですが、『女帝 小池百合子』の部分については全く事実と異なる、ときっぱりと否定をしています。

◎『女帝』熱愛報道の嘘と小池都政の空虚な精神構造 自己宣伝最優先で地道な課題は忌避、都政を混乱させた4年間(舛添要一、2020.6.27)

>私は、1986年に前妻と結婚してから、小池氏と私的に会ったことは一度もない。
>それなのに、私が1990年に購入した北海道の別荘で小池氏と「週末を過ごした」と記されている。時系列からしても不可能なことである。

また、同じ選挙区を争った阪上善秀氏は、小池百合子知事に選挙や政治で負けたせいで贈収賄事件を起こしたように描かれていますが、「それはどう贔屓目に見ても「阪上氏本人の問題」でしかないと思います。

など不思議な解釈も多いです。

たぶん、事実も多く含まれるのではないかと思いますが、好意的に見ても事実誤認、悪く言えば捏造ともいえる部分も散見されるため、判別がつきません

小池百合子都知事を陥れ、悪く見せるための部品となる「物語」をかき集めた作品のようにも見えてきます。

創作物である小説であればそれもありでしょうが、ノンフィクションとして名乗り、しかも対象者を明確に「小池百合子」都知事としているのであれば、ファクトチェックをしっかりとした上で書かないと、その作品の価値は無いに等しいでしょう。

小説としては面白いのかもしれませんが、しかし、ノンフィクションとしては厳しい、と言うのが本書に対する私の正直な評価です。

Comment

  1. これは忖度記事ですか?

    返信

  2. 諸石美栄子

    2020年7月15日 11:13 PM

    私も小池さんが当選した時池上彰がこの本の事を本人にぶつけていたので興味を持ち購入しましたが、著者に対しとても不愉快になりこのサイトに行き着きました。私は特に小池百合子氏には何も感じませんが、この本自体が正に不愉快以外の言葉が見つかりません。

    返信

    • 小池都知事への支持・不支持関係なく、人格を貶めるような書き方をしていて不快だと私も感じています。作者の方は文章を書く力がとてもある方ですので、とても上手い書き方をしていますが、大変強い「悪意」のようなものを感じました。3年半もかけて取材をされ、都知事選の直前というタイミングで出版しているあたり、活躍している女性への強烈な「嫉妬」、足を引っ張る事がこの方の物書きとしての原動力になっているのかもしれないなと思いました。前作品も含めて。

      返信

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